グリップの重要性について語る
皆さん、おはこんばんにちは。
最近『Wizardさんところのグリップってどうしてこんなにいっぱいあるの?』という質問がきて、その場で即答したら、『なんでそれブログで書かないの!』って怒られてしまいました。
学生時代優秀すぎて誰にも怒られてこなかった店長は、こういう怒られるシュチュエーションにタジタジ…。
そこで、今まで言ってこなかった理由も含めてブログに書き記したいと思います。
世界で一番詳しいグリップの説明です。
グリップに悩んでる方必見!長文だけどしっかり読んでね。
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■そもそもグリップとは何か
当たり前のことから振り返りたいと思います。
まずはグリップと名の付くものにはどんなものがあるでしょうか?卓球・バドミントンのラケット競技はもちろん、自転車・バイクなどの競技でもグリップという言葉を使います。
特に、バイクや自転車の業界では″ハンドル”という言葉と”グリップ”という言葉の両方が出てきます。では、ハンドルとグリップの違いはなんでしょうか?
ハンドルはグリップを含めた全体を差すのに対し、グリップは手で持つところのみを差します。弊社の小川選手がグリップである裏面のラバーをビリビリ破いているという話は界隈では有名な話ですが、グリップという言葉の意味は手で持つところ手が当たるところをグリップと呼ぶのです。
もちろん手が当たるところは全部グリップとして呼べるので、シェークの人差し指が当たるところをビリビリに破いたりしても全く問題ありません。(反転するとグリップとは呼べなくなるので失格になる)
■ラケットのグリップとは?
言葉としてのグリップの意味は手が持つところという意味でしたが、ラケットとしてのグリップは実際にはどのような素材が使われているでしょうか?それにはどんな意味があるでしょうか?
日本式ペンの場合、グリップはコルクで作られていることが定説となっています。
一部、タマス社の日中号やニッタク社の双などコルク以外の素材(木材)と接着された状態でラケット本体と接続しているものもありますが、実際に多くの人がイメージする日本式グリップはコルクでしょう。
中国式ペンやシェークの場合、グリップは無垢の木材か、積層された木材であることがほとんどです。積層されたグリップにはたいてい着色が認められる場合が多く、鮮やかなグリップを可能にしています。
コルクはコルク樫の樹皮から採られるし、それ以外は木材です。
ですが実はそれらのグリップ、ルール上は木材である必要性はありません。
ITTFのルールブックには表面が平滑であることという条件とブレードの85%以上が木材であることという条件しかほぼ書かれておらず(厳密にはもっとあるけど割愛します)、グリップの素材に対しての規定はありません。グリップの素材は自由というのを逆手にとって、ニッタク社が世界初のカーボングリップを搭載したラケットをリリースしてましたね。
なぜ、グリップの素材は木材なのでしょうか?
それは、ラケットが振動体であるからです。ニッタク社はアコースティックやバイオリンを冠した弦楽器シリーズを販売していますし、タマス社は昔から振動係数という独自の係数を掲げています。
その観点で見てみると、ブレードは振動体ですしグリップはラケット自体の振動をユーザーに伝える役目があると考えることが出来ます。ずばり特殊素材のグリップが流行らないのはグリップ自体が振動しなくなって正確なフィーリングが得られなくなるからと私は結論付けています。
■グリップがあるもう一つの理由
グリップは振動体という目線で上では語りましたが、自分自身にとってどういう存在でしょうか?
こういう時は、大げさに考えるとかえってわかりやすい事がおおいです。
卓球のラケットのグリップがブレードよりも大きくて、更にハンドボールのボールのように大きな丸型だったらどうでしょうか?いかにも振りにくそうです。
では、ドラムのスティックのように細かったらどうでしょうか?いかにも振りにくそうです。
このように、ハンドボールは大きいですが、手に持てるギリギリの大きさですし、棒状の物という観点ではドラムスティックもラケットのグリップも変わらないように思いますが、実際にはそれらの形状で卓球をするのは困難です。
このことからも分かるように、グリップの形はラケットの操作性に大きな影響を及ぼします。
もっと細かく起こってる現象について説明すると、ラケットを持っているグリップがラケットを操作する角度や速度に影響を与えたことになります。
これは大げさに考えた場合ですが、もちろん小さい単位でも同じようなことが起こります。
友達のラケットを借りたら同じラバーが貼ってあるのになぜかサーブが切りにくかったり、あまり飛びが良くないはずのラケットの方が飛ぶように感じたり、理解が及ばない事の多くにグリップが関わっていることが多いです。
ここまで断定して書くとオカルトチックですが、これはグリップに限った話ではありません。
ミズノ社では、足と靴と健康協議会が認定しているシューフィッターの資格を持つ方が店員にいたりします。店舗限定のサービスではありますが、そのシューフィッターさんがオリジナルのインソールを作ってくれるサービスをやっています。なにもインソールは履き心地だけを向上させるものではありません。
難病指定されている病気に対し、インソールが有効であったことを示す一例があります。
運動療法とインソールが有効的であったシャルコー・マリー・トゥース病の一症例 | CiNii Research
気になった方は読んでください。
このように、インソールは難病指定の病気に対しても運動能力の向上を示すことがあります。
運動能力が向上するという事はフィットしない形状にして阻害することも可能なはずです。
ここで思い出して欲しいのは友達のラケットでサーブが切りにくくなったという事例。
これは色々な条件があったにせよ、運動能力の阻害に繋がったのは間違いありません。
そのことから転じて、グリップは自分の身体と靴を繋げるインソールと同じように、自分自身の身体とブレードを繋げる物だと言えます。身体を扱う正確性や身体のパフォーマンスを阻害しないよう、グリップを選択する必要がありますし、自分の手の形にあったグリップを選択できれば今まで制限されていた状態に比べてパフォーマンスを向上させることも可能です。
■自分に合うグリップを選ぶには
ここまで少し堅い内容でしたが、ここからは至極単純で分かりやすいセクションにしたいと思います。
まずは普段自分がどのように手を使っているか知る必要があります。
ー傘の持ち方を考えてみる
傘は普段どのように持っていますでしょうか?
国歌斉唱の時のように握りこぶしを胸の前で作って持つ人、昇竜拳よろしくと巻き付けるように持つ人
ビールジョッキの取ってを持つようにひっかけて持つ人、いろんなタイプの人がいます。
外的な力、強風に備える時に力が入りやすい握りと、様々な技術に対応しなければならない卓球の時に力が入りやすい握り、前半部分は違いますが後半部分は同じなので、ひとまずこれをベースにラケットのグリップを握ってみましょう。この時にグリップと手に隙間が出来るグリップは、あなたにとって良いグリップとは言えません。
ですが、この傘の持ち方から考えるグリップ考察、根本の傘の持ち方で力が入りにくいグリップになっていたとしたらどうでしょうか?ココこそがいままでグリップについて語りにくかった理由の最大のポイントです。
正しさを追求すると正しさの正確性についてももちろん追求することになるので、不用意な発言を避ける傾向が生まれてしまう、そして正しさの正確性について考えていない浅はかな意見の方が手数が多くなって訴求力で負けてしまう。これはどの業界にもあり得ることです。
化粧品の成分について本気で研究している人の意見より、化粧品評論家の意見の方が世間的には大きくなってしまうという話も頻繁に見聞きします。
このように安易に”正解”について話す人を信用せず、あくまでその意見が自分にとって正しいのかという物差しで常に他人の意見を聞くべきだと私は思います。もちろん、私の意見でさえもです。
そのくらい”正解”は危うくて脆いものであることをここまで読んでいただいた方には知っておいていただきたいと思っています。
■なぜこれだけグリップが多くなった?
私は、グリップについて長年論文を書いている立場ではありませんが、数多くの人の悩みを解決してきたラケット製作のプロであることは間違いありません。
その点で正しいグリップも正しいグリッピングもあるとは現時点では言えませんが、それぞれの人が力の入りやすいグリップを探した結果、最低限必要なグリップをラインナップした結果、これだけ多くのグリップをラインナップすることになりました。
あなたに合う特上のグリップを更に追求する方は、ぜひ店舗にきてグリップを握ったり特注のオーダーをしてみてください。
きっと今までよりも卓球が楽しくなります。
■まとめ
世界一詳しいグリップの説明を目指して書いてきました。
ここまで読んだ方なら、アナトミック・コニック・ストレート・フレア・ハンドソウのそれぞれの特性について語ることがいかに意味が無いかお分かり頂けたと思います。
自分に合うグリップは自分自身の中にしかありません。禅問答のような終わりになりました。禅は心の揺らぎが無くなった状態の事ですが、確かに自分に合うグリップを見つけると、揺らぐ事が無くなります。
もしこのブログを読んで良いなと思った方は、SNSで宣伝をよろしくお願いします(〃・д・) -д-))ペコリ