【新発売】Tachyon Outer【ぶっ飛び】

SIGRACETを使用したWizard初のカーボンラケットを2022/4/1に発売します。
SIGRACETは他のカーボンとどう違うのか、Tachyonはどんなラケットなのかについて解説してきます。
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第一章:Tachyon 誕生秘話

Tachyon コンセプト

タキオン粒子という言葉を知っていますか?
  タキオン – Wikipedia

タキオン粒子は、光よりも速く移動する仮想的な粒子です。
仮想的なもので存在はしていないということですが、ここでは敢えてそれになぞらえて、そのくらい速いラケットを作ろう、一番ぶっ飛んでるラケットを作ろうという事でTachyonの開発がスタートしました。

こうしてスタートしたTachyonですが、弊社は今まで木材ラケットの可能性を推してきた会社です。
もちろん、知識的にも仕入れ的にも特殊素材のラケットが作れないわけではなかったのですが、ハンドメイドで特殊素材のラケットを作るのには、圧倒的に資金力がありませんでした。
ですが、そこの開発に踏み切ったのは、いろんな木材の可能性を踏まえた上で、どうしても軽くて飛ぶという性能を極めるには、特殊素材のラケットに手を出すしかなかったのです。

アラミド繊維との出会い


まずは各社が出してるアラミド繊維から入ろうということで、アラミド繊維のラケットを作ってみました。
こちらの投稿覚えてますでしょうか?

スポットライトの当たったピエロが微笑む、その奥にNEXTという文字と赤カーテンは赤いアラミド繊維になっています。我ながら面白いコンセプトイラストが出来たと慢心していたら、あまりビューもいいねも付かず、途方に暮れた思い出があります。
兎にも角にも、この時に出されたのが第一世代Tachyonでした。
開発名称はGuilty Clown。罪なピエロだったのは、広告が上手くいかなかった私の事でしょうか…。

アラミド繊維との別れ、そして新たな出会い

アラミド繊維の第一世代Tachyon、試打にいつもながら小川選手のところまで行き、打ってみました。
やっぱり開発者は自分自身の理論値よりも最後は選手の望むものを作らなければなりません。
開発者が求めていたのは、今までにないくらい飛ぶラケット。
小川選手の口から出たのは、飛ぶ中でも適度にしなって普通に使いやすい特殊素材ラケット。

これでは、弊社の威信をかけたラケットとしては不自由分だということで、いろいろなものを見直します。
仮説としては、
・アラミド繊維ではやはり限界があった
・接着剤の硬さが足りない
まずこの二つから解決していきたいと思っていました。

そもそも、弊社では現在接着剤は起業時に20種類ほど試して、一番いろんな木材同士を接着できる接着剤が現在メインで使っている接着剤です。強度自体も木材よりも硬いくらいの接着強度が出るので、基本的には大丈夫です。実は3種類くらい接着剤を使い分けたりもしてます。それは小ロット生産の強みでもありますね。
その中でも、特に硬さがある接着剤の種類を基に、硬い接着剤を探しました。

そして繊維の方もアラミド繊維以外の素材も色々検討しましたが、そもそもアラミドカーボンって結構硬いですよね。それより硬いとなると、東レのトレカとか…。
ここでの問題はロット数です。ほんとに小ロットで発注できて弾性が高いって奇跡みたいなもんなんですよね。

作っては廃棄し、作っては首を傾げの繰り返し、やはりぶっ飛び特殊素材ラケットは零細企業には無理なのか。
もうこのフェイズで12月。開発には暗雲が立ち込めていました。
ここで転機が訪れます。

社長「なんかいい素材ないかなぁ」
店長「そもそも繊維素材と接着剤との相性が悪い、もっと短繊維の物でなにか探そうよ」
社長「うーん(マスクを外す)」
店長「あれ?マスクって不織布よな、空隙率高いよな、カーボン素材の不織布ってないん?」

ここが転機となって丸1週間くらいPCの前で探しに探しまくりました。
その結果見つけたジャンルがGDL、充電池用のガス拡散層です。
もうジャンル違いもジャンル違い、それからまた必死にもがきながら見つけたのがSIGRACETだったのです。
SIGRACETってそのくらいレア素材で、市場にありません。
もし疑ってる人がいるならSIGRACETって調べてみてください、弊社のTwitterあたりも検索に引っ掛かるはずです。

そうして、最強の接着剤・最強の特殊素材が揃いました。
あとは構成だけのはず。暗雲が立ち込めてたプロジェクトに光が差し込みます。

Tachyon第二世代完成!

遂に、SIGRACETを使ったラケットが出来上がりました!!
二天道楽をアウター構成にしてSIGRACETを使ったラケットは、皆さんの期待するラケットそのもののはず。
期待感胸いっぱい、もう時期にリリースが!っ

そう思ってたんですよ、今日までは…。
接着剤がSIGRACETを透過して表板まで染み出してます!!空隙率が高いってそういう事か!
解決策はすぐに思い浮かびました。
①この最強の接着剤をやめる
②アウター構成をやめる
ここの解決がなされなければTachyonは製品として販売できない。
①も②もOUT OF 眼中だった私は、第三の選択肢を模索します。
そこで気になったのは、なぜ染み出しているかということと、厚みの変化が今までのラケットの中で一番少なかったことです。
本来、突板同士を貼り合わせる際、0.025mmの接着層ができるのですが、Tachyonはどう考えても厚さが合いません。SIGRACETは最強の接着剤で接着した場合、各層にぴったりとくっつくので厚みが増えない、そう考えたとき解決策が見えました。
ぴったりとくっつかないように、先に接着層を作っちゃおう。

通常ラケットに使う接着剤は1種類ですが、SIGRACETと表板の接着を先に従来の接着剤で接着し、それを仮にパーツAとします。そのパーツAと添え板のアユースを最強の弾性を持つ接着剤で接着し、更にそのパーツを最強の接着強度を持つ接着剤で芯材とくっつける事で、SIGRACETは接着剤が染み出す問題を解決することが出来ました。
会社ではその技術をTrident Glue Processと名付けました。
第二世代後期型Tachyonは試打の結果かなり弾むという感想をもらい、Tachyonのプロジェクトは試打動画を撮るフェイズまで進むことが出来ました。

第二章:Tachyon 4つの工夫

今までのおさらい

Tachyonはこれまで”とんでもなく飛ぶ”を解決するために
最強の特殊素材SIGRACETを活かすべく、以下のような工法が使われていました。

【Trident Glue Process】
最強の弾性を持つ接着剤・最強の接着強度を持つ接着剤・従来の接着剤の3種類を使用して弾みと打感をコントロールする技術

ここが一番の基幹技術と言っても過言ではないですが、その他にもTachyonの為に3つの技術を開発しました。第二章ではそれを紹介したいと思います。

まだだ、まだ終わらんよ

弊社では、PS 小川真央のラケットを製作するにあたり、選手の要望で始めたウレタンニスコーティングを施工していました。これは丁々発止(とPS小川真央)との大きな違いの一つですが、ここにもモダンラケットを目指すTachyonは新しい技術を搭載したいと開発会議で相談がありました。

弊社のウレタンニスコーティングは膜厚で平滑でラバーが接着しにくくなりにくいコーティングですが、実際にはその上から薄い膜のオイルコーティングをして仕上げます。
これは、表面の硬度を上げることが出来るからに他なりませんが、硬いといえば漆塗装。
ギターの塗装から学ぼうと色んな塗装を試しましたが、セラックは水分に弱く、ラッカーはゴム系の素材に弱く、両社とも卓球業界に向いてません。そうなると頼みの綱が漆しかなかったのもあります。
そもそも漆は漆に含まれるラッカーゼという酵素が空気中の水分から酸素を取り込み、ウルシオールと酸化重合を起こすことで硬化します。自然乾燥ではなく、科学反応です。
同じような酸化重合を引き起こす塗料にカシュ―塗装があります。カシュ―塗装は漆に比べカブれることがないので、作業性が高いです。
そうして、カシュ―塗料を作っている会社にラケット製作に向いた弾性の高い塗料を特注し、
ウレタン・カシュ―・オイルの三層からなる塗装、Trident Frost Coatingが生まれました。

【Trident Frost Coating】
三種類の卓球用途に最適化した塗料を塗布する事により従来品よりも高弾性・高耐久を実現。
ギター等でも使われる高級塗料を手作業で塗布することで平滑な塗膜を可能にした。

スイートスポットを広げたい

Tachyonを選手に使ってもらう上で弱点も判明してきました。
少し振っただけでものすごく飛ぶけど、ちょっとスイートスポットが狭いから扱いにくいかも、ということ。
このままではとんでもなく弾むけど使いにくいだけのラケットになってしまう、そこで以前からスイートスポットを上げる技術として開発してきた、ブレード周囲にコーティングを施す技術を確立させました。
その名も『Single Pearl Guard』。

これを施すことで、側面の強度を向上させられ、同時にスイートスポットも広がります。
いいことづくめです。
ただ、ラケットの設計と仕上げを担当している店長も幾度となく失敗を繰り返すほど、施工には技術がいるので、一般人が真似できる技術ではありません。

【Single Pearl Guard】
高硬度かつ柔軟性のある厚膜塗装をラケット側面に塗布する事によりスイートスポットを拡張させる技術。側面の耐久性の向上も同時に実現。

Tachyonの試打動画を撮ったら課題が見えた

Tachyonは史上最も弾むラケットをコンセプトに様々な課題を解決してきました。
小川選手の試打の為に、リファレンスラバーButterfly/Tenergy05,Butterfly/Rozenaを貼りました。

※リファレンスとは…誰もが体感したことのある定番的・定格的な商品

というのも、このラケットはどちらかというとタマスやソウルスピンなどのモダンラケットに寄せた商品になっているので、そういったラケットを作っているメーカーのラバーとの相性がいいと思っていたのです。

Tachyonの試打は上々。ここまでの技術が昇華して認められる瞬間はラケット開発に携わるすべての人のハピネスポイントだと思います。
問題はここからです。小川選手が打ち終えたラケットを翌日触って自分自身も試打をしてみると、小川選手の打った前後で全く打感が違うラケットになってました。

これは音響の世界でよく起こり得る事です。
エイジングという言葉で示される事象は、使い込みによって顕微鏡クラスの細かさで長い繊維が細かく軟化したり、ラッカー塗装も実は長い年月かけてシンナーが揮発するのでエイジング要素があります。スピーカーやヘッドフォンでもエイジングしてない音は硬くハイもローも上手く鳴らない特徴があります。

このように強いインパクトを持つ小川選手が打つだけで格段に打感が柔らかくなって打ちやすくなるのを、なんとか再現したいというのが、技術者的な思いです。
そこで、お酒業界の新星、黒糖焼酎のれんとで行われている音響熟成という方法に目を付けました。
他にも、ギター用のサウンド熟成装置なんかもあったりします。
卓球に目を向けてみると、強い人が使ったラケットや長年使ったラケットが妙に打感が良かったりしますよね。そういったものもエイジングの一つだと考えることが出来ます。

試しにラケット用に作った無響室の中でどでかいスピーカーでラケットに音楽を聞かせてみました。
弊社の再生機器では、グラフィックイコライザーがついてたりするので、周波数をいじってどの数値を上げれば効果的に柔らかく出来るのかを調べてみました。細かくノウハウを書くと似た設備を作って真似出来てしまうので割愛しますが、だいたい48時間くらいからエイジングが進み、144時間くらいからエイジングが進まなくなりました。
その間の時間で熟成させるのが良いですね。

そうして作った熟成技術を『Acoustic Fast Aging』と名付けました。

【Acousic Fast Aging】
『ラケットが馴染む』を科学的に検証。
強い打球を受けた時の振動を再現する事で打球感が購入時に変化するのを抑える技術。

第三章:Tachyon はどんな人におすすめ?

Tachyonに使われている4つの工夫をおさらい

【Trident Glue Process】
最強の弾性を持つ接着剤・最強の接着強度を持つ接着剤・従来の接着剤の3種類を使用して弾みと打感をコントロールする技術

【Trident Frost Coating】
三種類の卓球用途に最適化した塗料を塗布する事により従来品よりも高弾性・高耐久を実現。
ギター等でも使われる高級塗料を手作業で塗布することで平滑な塗膜を可能にした。

【Single Pearl Guard】
高硬度かつ柔軟性のある厚膜塗装をラケット側面に塗布する事によりスイートスポットを拡張させる技術。側面の耐久性の向上も同時に実現。

【Acousic Fast Aging】
『ラケットが馴染む』を科学的に検証。
強い打球を受けた時の振動を再現する事で打球感が購入時に変化するのを抑える技術。

まとめると、Tachyonは弾みが市場のラケットの中でも最大級で、高耐久の表面と側面を持ち、スイートスポットが広く、打球感が購入後に変化しにくい性質を持つラケットです。

おすすめのユーザー1

おすすめユーザー1は『バックが苦手でフォアハンドの一発打ち抜きに命を懸けてる方』です。
バックが苦手なユーザーは、バックを責められるととにかく返して粘る系の技術が多くなると思います。
フィッシュ・ロビング・ブロックなど、当てるだけでも飛距離が出るこのラケットは、バックの苦手なユーザーに向いてるラケットとも言えます。そこからのフォアハンドの引き返しでは威力が十分なので、一発で挽回することが出来ると思います。

この場合におすすめなラバーも一緒に紹介しておきます。
レシピとしてお使いください。
フォア:Joola/Golden Tango PS(MAX)
バック:Tibhar/Aurus Select(2.1mm)

実はこの組み合わせ、どちらもピンクの気泡スポンジがついていて、アウラスセレクトが45度、ゴールデンタンゴPSが50度と度数違いになっているのがポイントです。
ゴールデンタンゴPSはTachyonの直線的な弧線を緩和してくれますし、アウラスセレクトはバックの苦手なユーザーにとって非常に重要なブロックの浮きを軽減してくれます。
また、UM系の食い込みやすいトップシートの中ではアウラスセレクトは硬めのトップシートベースを持つので、回転の上限値が下がることは懸念しなくても大丈夫でしょう。

おすすめのユーザー2

おすすめユーザー2は『とにかく下がってのラリーが多い方』です。
ループドライブは弧線が低めのラケットなので、上から叩かれてラリーの起点で潰されることは少ないです。最近の卓球ではチキータスタートからの両ハンドラリーという展開でもいけると思います。
ボールを起こした後はすぐに下がってしまってとにかく回転をかけつつ入れる、攻撃の際前に出ることなく、質のいい球をコースに送ってラリーで勝つ展開のユーザーは、スピードとスピンが必要になりますが、そのどちらもが高い水準でシームレスにコントロールできるこのラケットは、ラリーが多いユーザーに向いてるラケットと言えるでしょう。

この場合におすすめなラバーも一緒に紹介しておきます。
こちらもレシピとしてお使いください。
フォア:Butterfly/Dignics 05(特厚)
バック:Butterfly/Dignics 80(特厚)

間違いない組み合わせであることは言うまでもありません。
逆に、現在このラバー構成に似た構成で飛距離に不満を感じているユーザーであれば、そこはTachyonが解決してくれること間違いなしです。
バックはスポンジ硬度の方を落としがちですが、D80はトップシート硬度がD05に比べて柔らかめで食い込みすいので、少し厳しいコースの球も深くに自然な弧線ではいってくれます。
まさにラリープレイヤー向きの構成だと言えるでしょう。

おすすめのユーザー3

おすすめユーザー3は『ショートでコースをついてフォアハンドの引き合いに持って行きたい方』です。
初のペンホルダー限定の戦型ですね。シェークハンドの方には苦手な方も多いショートの技術はそれだけでも大きな得点源ですが、ブロック寄りの要素が強くどうしても受動的なシーンでボールの弾速と低さが必要になってきます。Tachyonはそのどちらも持っているラケットなので、ショートを得点源として使うペンユーザーに向いているラケットと言えるでしょう。

レシピはこちらです。
フォア:Dianchi/Dianchi D銀版(39度 2.1mm)
バック:Butterfly/Rozena(特厚)

典驰(以下DD)は红双喜の天极によく似たラバーですが、トップシートもスポンジも軽量な為ペンユーザー必須の粘着重さ問題を解決してくれるラバーです。中でもミート系の技術がやりやすいのが特徴で、速さは欲しいが飛距離が出てほしくない局面でDDは最適だと言えます。もちろん一発打ち抜きやラリーといった厚く当てる技術では、肉厚の已打底が飛ばしてくれるので安心してラリーに持ち込むことが出来ます。
DDはバージョン違いに金版がありますが、金版だとTachyonと合わせた時に飛距離が出すぎる傾向があるので、ここは敢えて飛距離を落として安心を取る銀板の選択肢が有力でしょう。
RoeznaはBTFのフラグシップではないですが、このラケットであれば飛距離に問題を感じることはありません。軽さと飛びと回転量、何よりもBTF系のラバーの攻められた時コースを付かれた時に抜群の安心感があります。ショートを得点源としながらも、ラリーで引き合う、ラリーになったら裏面も使う、これだけかなりディティールが細かくなりましたが、そういうプレイヤーにはおすすめの構成です。

第四章:まとめ

Tachyonは弊社が今できる全ての技術を詰め込んだラケットです。
2年間の努力の結晶と言ってもいいでしょう。

色んな方に試して頂きたいですし、そのぶっ飛び度に驚いて欲しいですし、それをきっかけに四字熟語のシリーズのレトロ系ラケットに手を伸ばしてほしいなと思っています。

現在3月31日、4月1日には試打したプロモーション動画が出て商品の受注も開始するので、ぜひ楽しみにされてくださいね!

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